弔問における服装
弔問とは、①お通夜前や葬儀後の、ご遺族への弔意を伝えるための訪問と②お通夜や葬儀に参列するための訪問との双方を含む概念です。
①お通夜や葬儀への参列のための弔問と、②葬儀前や葬儀の後日に、故人のご自宅への、弔意を伝えるための弔問とでは、その性質が異なるため、ここでは、分けてご説明いたします。
弔問における服装 葬儀会場へと弔問する場合
お通夜時や、葬儀時に葬儀会場へ弔問する場合
- 服装の種類 喪服
- 留意点 喪主の喪服よりも格式が上にならないこと
- 具体例 準喪服や略式喪服で調整 正式喪服とくに着物はNG
標準的な喪服と装飾品や所持品
お通夜や葬儀は、会葬という形式を採用しますが、宗教的儀式の意味合いもあります。
例えば、菩提寺のお坊さんを導師としてお招きするのは、故人の魂を成仏させる儀式を行うためです。
喪主は、葬儀という宗教的儀式の主催者ですから、この主催者よりも、格式が上になる服装を着用することは、マナー違反になります、
最近では、芸能人や資産家などの葬儀を除いて、喪主が正式喪服である着物を着用する場合は稀です。
むしろ家族葬が、主流となりつつある現在では、葬儀の儀式が、簡素化される傾向にあります。
すると、喪主の服装も、着物などの正式喪服よりも、準喪服の着用で、済ませるケースがほとんどです。
喪服の種類 正喪服 準喪服 略喪服の異同
この場合に、参列者が、着物などの正式喪服を着用してお通夜や葬儀に出ることは、マナー違反になるので、要注意です。
親族として参列する場合は、上記の準喪服が、マナーに合致します。
友人など、一般人として参列する場合は、略式喪服を着用するのが、マナーに合致します。
最近では、参列者の高齢化とコロナ禍によって家族葬が、主流になりつつあります。
家族葬では、喪主と親しい親族が中心になって葬儀を行うケースがほとんどです。
家族葬では、参列する親族の方は、上記の準喪服で対応できます。
y礼服などの略式喪服を着用することで、マナー違反を回避できます。
弔問における服装 自宅へと弔問する場合
お通夜前に自宅へ弔問する場合
- 服装の種類 平服
- 留意点 着の身着のまま。ただし弔意を伝えるのにふさわしい佇まいのままでは不適切
- 具体例 赤いTシャツなどは不適切!白系やベージュ系のTシャツへ着替える
近くに住む親しい親類など、訃報を聞いて、着の身着のまま馳せ参じたという服装が理想的です。
こういう状況で、喪服でご自宅に弔問に伺うのは、故人が逝去されるのを予期していたかの感を醸し出してしまいます。
また、お通夜前なので、喪主も、平服で、葬儀の準備で慌ただしくしています。
このような状況で、弔問客が、喪服で故人のご自宅に伺うのは、マナー違反となります。
ただし、着の身着のままといっても、弔意を伝えるのに、ふさわしくない佇まいの平服は、避けるべきです。
弔問の服装 女性が後日弔問する場合 葬儀後、四十九日まで
- 服装の種類 平服
- 留意点 ただし弔意を伝えるのにふさわしくないカジュアルものは不適切
- 具体例 肌の露出度が大きい服装は、避けるのがベター
葬儀後、四十九日以内の忌中の服装は平服がマナーに合致します。
葬儀を終えてから、四十九日まで、喪主は、平服で過ごしているので、弔問客が、喪主よりも格式の高い服装である喪服を着用するのは、マナー違反になるからです。
平服といっても、日常で着用するカジュアルな服装よりも、控えめな服装を選びます。
日常で着用するカジュアルな服装よりも、控えめな服装の具体例
忌中の四十九日までは、喪主やご遺族は、平服をまとっていても、宗教的意味での葬儀の儀式を主催している期間なので、弔問客としての服装もカジュアルなものは不適切といえるからです。
喪中と忌中との違いについて!
- 喪中は、故人の他界後、1年間の間のことを言います。
- 忌中は、故人の他界後、いわゆる四十九日のことを言います。
忌中では、神道では、神社へのお参りを避けるようなしきたりがあります。仏教では、極楽浄土へ行けるか?の最後の判定が、他界後、四十九日目に行われるとされます。
弔問の服装 女性が後日訪問 葬儀後、四十九日後
服装の種類 平服
留意点 ただし冥福をお祈りするのにふさわしくないカジュアルものは不適切
具体例 ピンク系のワンピなど!
四十九日以降は、忌は開け、日常生活に戻りますが、まだ喪中です。
喪主やご遺族は、通常の日常生活に忌中から戻りつつも、故人が逝去してから1年間は、喪中なので、慶事ごとを避けて、慎ましく過ごす時期です。
この期間にご遺族に訪問するのは、自宅にお線香をあげにいく行為として、厳密な意味での弔問と区別されるべき行為と見るのが自然です。
喪中とは、故人のご遺族が、慶事を慎しんだり、日常生活を慎ましく過ごす時期で、忌中と異なり、故人の冥福のためあの、宗教的儀式のため、通常の日常生活と異次元の生活を送るわけではなく、この時期の訪問に弔意をもたらすのは不自然だからです。
四十九日以降は、忌は開け、日常生活に戻りますが、故人の逝去の後、1年間は、まだ喪中です。
このような観点から、この時期における訪問の服装は、平服が自然です。
自宅葬においてお通夜時や、葬儀時に自宅に訪問する場合
いまでも、地域の慣習の強い地方などで、自宅葬が、執り行われることがあります。
自宅葬では、隣組など、地域のネットワークが機能しています。
その結果、葬儀会社の葬儀会場での葬儀とは、異なる雰囲気のもとで厳かに、葬儀が進行していきます。
ただし、一般の参列者が、地域のネットワークの影響をうけることはなく、葬儀会場への弔問に準じます。
すると、自宅葬での参列時の服装も、葬儀会社の葬儀会場へ参列する場合と同じです。